【新聞掲載】つけ続けたから補聴器を体の一部のように使いこなせるようになった

2022.12.27

【第68回 2022年(令和4年)12月27 日(26日発行)】

 補聴器を購入されるみなさんは、基本的には生活の中で不便を感じ、困った末に購入を検討されます。しかし、自分さえ我慢すればなんとかやり過ごせると思っている方もいます。

 そういう方が「でも、やっぱり補聴器を」となるのは、ご家族やご友人との交流によるところが大きい。私の印象に残っている、80歳代の2人の男性のお客さまのお話です。

 おひとりは娘ご夫婦と2世帯住宅に住む方。調整のときは仕事を持つ娘さんが忙しい中でも必ず同席し、3週間のお試し期間を経て購入されました。

 もうひと方は別居する娘さんがいらっしゃる方ですが、ひとりでご来店され、そのままレンタルを開始するも3日後に、娘さんからの連絡で中止、返却となりました。娘さんがおっしゃる中止の理由は「合わないみたいだから」とのことでした。

 このおふたりとも聴力は同程度で、大きな声を出せば聞こえますが、聞こえたふりをして後から聞いてなかったなんてことも少なくなかったようです。

 途中で中止になった方のご家族は、同席いただいていれば補聴器はすぐ聞こえるようになるものではなく、時間をかけて調整していくものということを理解いただけたと思うのですが、カタログや文書などを渡してもうまく伝わらず、すぐ中止となり、聞こえづらい元の生活に逆戻りになってしまいました。

 補聴器購入に至った方は、補聴器をつけ始めてすぐに使いこなせるようになったわけではありません。毎日つけ続けた結果、補聴器を体の一部のように使いこなせるようになり、ケアマネさんとの会話でも、自分から質問をするなど耳の聞こえの改善にとどまらず、生活全体に意欲が湧くようになったといいます。

 それには娘さんをはじめご家族が積極的にご本人に声をかけ、補聴器装用に前向きになるように、気持ちを向けていただいたことも関係しているでしょう。

 このように家族や、周囲の方の理解の差で補聴器が使いこなせるかが決まるといっても過言ではないのです。

 年末年始。ご家族の聞こえを一緒に考えてみませんか。

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278536