【第2回 2021年7月13日(12日発行)】
2011年、米ジョンズ・ホプキンス大学の研究者が、病気の要因と発症との関連について、ある集団を一定期間調べたコホート研究の結果を発表しました。
それによると、難聴を放置すると、7歳年上の人の認知機能と同じレベルになってしまうとのこと。それも難聴の程度が軽度、中等度の場合にかかわらず起こるというのですからショックです。さらに、難聴者の脳をMRIで調べてみると、全脳、中でも右側頭葉の領域の容量減少が見られることも報告されています。
大切な脳の機能を衰えさせないために、対処する余地は残されています。それが補聴器で、難聴をカバーし、認知機能を維持させる機器として有効だと考えられているのです。
これにより会話がスムーズになり、外出が楽しくなったり周囲とのコミュニケーションに積極的になったりし、生活がイキイキします。昼間の音の刺激が脳に届き、夜もよく眠れるようになるといわれています。
ただ、自分に合った補聴器を選ぶには、難聴の正しい診断と、それに基づいた補聴器の的確な使用が不可欠。さらには、補聴器を装着した後、一定期間、聴覚トレーニングを行うことも必要となります。
このトレーニングではスピーカーから音を出して、どの音が、どのくらいの大きさの時に聞こえるかを調べます。数値で結果が出るのでモチベーションも上がりますし、目標ができると、早く補聴器に慣れて、毎日着けるようになりたいという気持ちにもなります。
もし耳が遠くなったと思ったら、認知症対策の観点からも、補聴器を着けることを考えてみてはいかがでしょうか。