【新聞掲載】子供の聞こえづらさ対策の遅れは生活や学習に大きく影響

2022.02.01

【第26回 2022年(令和4年)2月1日(1月31日発行)】

 補聴器の可能性を知っていただくため、前回に続いてお子さんの難聴と補聴器の役割についてお話ししたいと思います。

 聞こえづらさがあっても、お子さんはそれを口に出して訴えられません。特に軽度の場合、大きい音にはしっかり反応するため、周囲の大人も気づきにくい傾向があります。

 しかし成長の過程で、言葉の遅れや発音の様子から、「もしかして」と思う場面が出てくるかもしれません。生まれながらにして両耳に障害のある赤ちゃんは1000人に1~2人いるといわれています。

 聞こえにくい状態が長期間続いてしまうと、音声の獲得が困難になり、その後の生活や学習にも大きく影響が出てきます。出来るだけ早いタイミングで難聴を発見し、適切な治療や、人工内耳の検討、補聴器の装用などを行うことが求められます。

 先天性難聴の原因のひとつに妊娠中のお母さんが風疹にかかり、赤ちゃんが風疹ウイルスに感染してしまうことがあります。妊娠を希望する女性はパートナーと共に風疹の予防接種を受けておくことも大事でしょう。

 また、耳の聞こえの障害は生まれつきの場合だけでなく、その後の病気が原因で起こるものもあります。日頃からお子さんの日常の様子に注意し、発達に応じて耳の聞こえ具合と言葉の状態を確認することは大切です。

 早期発見する取り組みの重要性が、自治体でも認識されつつあります。例えば東京都では2019年から公費負担助成制度が始まり、すべての新生児が検査を受けられ、状況に応じて補聴器購入を助成する体制構築に動き出しています。そしてその流れは全国の自治体へと波及しています。

 新生児の段階で発見されれば、早いうちに聴覚への介入がされるので、1歳代にはもう補聴器をつけ言語獲得前の早期に音を脳に届けられるようになります。

 今後も一層、聞こえを改善し、より良く聞こえることがあらゆる人々の健康に深く関わるのだという認識のもとに、補聴器は人生をより豊かにし得るツールの一つになっていくことでしょう。

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/277216