補聴器を使いこなせないのはなぜ??

2022.05.04

補聴器をつけているけれど聞こえない、補聴器を持っているけれど使っていない…こんな方もたくさんいらっしゃいます。問題点を一つ一つ解決し、きこえの改善をはかった一例を紹介したいと思います。

他店で購入した耳あな型の補聴器を数年ご使用されていましたが、「聞こえないので補聴器を買い替えたい」という90代のお客様がいらっしゃいました。お客様とご家族からお話を伺っていくと、問題点が3点あることがわかりました。

1つ目は補聴器の形の問題。耳あな型補聴器は小さく目立たないのですが、90代になり手先が不器用になってきたというお客様は補聴器の取り外しの時に落として転がしてしまい見つからなくなることがありました。また電池の交換も難しくなり、電池蓋を何度か壊してしまうこともあったそうです。

電池交換の時に壊してしまったり、落として見つからなくなったり…
電池交換の時に壊してしまったり、落として見つからなくなったり…

2つ目は調整の問題です。聴力測定をして、補聴器の音量を確認したところ聴力に対して十分な音量が入っていませんでした。補聴器をつけていても聞こえにくい状態でした。

3つ目は装用習慣が身についていなかった点です。補聴器をつけるのは誰かと話をするときと外出するときとのことで、装用時間は1日に3時間ほどでした。ご家族が声をかけたときに補聴器をつけていないため聞こえていないことが多く、慌てて補聴器をつけたりご家族が大きな声で話したりしていました。また1人で家にいるときもインターホンが聞えず、宅配便を受け取ることができなかったり、やかんの沸騰する音が聞えておらず中身がほとんど蒸発してしまったりすることもあったそうです。せっかく補聴器をもっているのに活用できていませんでした。

会話以外の音も大切です
会話以外の音も大切です

この問題点を踏まえて、補聴器の提案と調整、装用指導を行いました。

補聴器の形は大きめの耳かけ型BTEの充電式を提案しました。落としてしまったとしても転がることはなく大きめのサイズなので見つけやすくなりました。また充電式なので電池の交換も不要になります。

調整については様子を見ながら聴力に合わせた音量を少しずつ入れていきました。また自分が必要だと思ったときにだけつけるのではなく、朝起きたら補聴器をつけ、夜寝る時には外して充電をする。これを習慣にするよう伝えました。

初めは様々な音がうるさいとおっしゃっていましたが、起きているあいだ1日10時間ほど補聴器をつけ続けていただくと音が大きくなったことに慣れていき、家族との会話やテレビの音がよく聞こえるようになったとのことでした。補聴器をつけてどれくらい小さな音が聞えているか測定をしたところ、35dBまで聞こえるようになっており、客観的な評価でも補聴器の効果が出ていました。

お客様がどのようなことで困っているのか、どういった生活をしているのかお聞きして補聴器の提案や調整をしていきます。どんな小さなことでもお話ください。

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充電式のBTEにしたことで使用が簡単に