【第27回 2022年(令和4年)2月8日(7日発行)】
難聴の原因は遺伝、加齢、病気、薬の副作用、音の環境などさまざまあるといわれています。その中で、生活習慣に起因するといわれているのが騒音暴露、喫煙、そして糖尿病や腎疾患といった慢性疾患です。
これらの原因の中でも、私たちに身近なのが騒音暴露です。コンサートやライブ会場で大音量を聴いた後、耳がキーンとなって、しばらく聞こえづらくなる経験をしたことがある人は少なくないのでは。これは、音を電気信号に変えて脳に伝える役割の有毛細胞がダメージを受け、一時的に難聴になった状態です。一時的なものであれば耳を休めれば修復され、健康な状態に戻るので、コンサートやライブ後は少なくとも48時間は静かな環境で耳を休めてください。
また見落としがちなのが、ヘッドホンによる騒音性難聴です。別名をヘッドホン難聴とも呼ばれており、世界中で若者に増えていると指摘されています。騒音性難聴はもとは、建設現場や道路工事など持続的に大きな音を聞き続ける人が発症する職業病でした。しかし、近年大きな音で音楽などを聴き続けることで、有毛細胞が徐々に壊れ、自覚し難く、気付いたときには難聴になっているという人が少なくありません。
ヘッドホンは電車の中や人混みで使っていると、つい音量を上げてしまいがち。それを長時間、毎日続ければ、耳へのダメージは計り知れません。一度壊れた有毛細胞は蘇りません。
コロナの影響でオンラインでのやりとりが増え学生さんも社会人も、ヘッドホンを使う機会が増えたのではないでしょうか。
ヘッドホン難聴の危険性を念頭に置き、必要な時以外はヘッドホンを使わないことを心がけましょう。最近はノイズキャンセリング機能がついたイヤホンも充実しています。そういった機能を活用して音量を下げることも大切です。
日頃から自分の耳をいたわる生活を心がければ、難聴のリスクを遠ざけられます。もしも耳の聞こえがおかしいと感じた場合は早めに耳鼻科での受診をお勧めします。