【新聞掲載】「聴く」ことのサポートだけではない 補聴器の新たな可能性

2022.11.01

【第60回 2022年(令和4年)11月1日(31日発行)】

「補聴器をつけていると、ときどき補聴器が『元気?』と聞いてくるから、『元気だよー』と答えているよ」

 こんなふうにおっしゃる高齢男性のお客さまが最近いらっしゃいました。

 実は、これ「元気?」ではなくて「電池」なのでした。この方の補聴器は電池の残量が少なくなったことを知らせるために、音声で「電池」とお知らせしてくれるのですが、その音量自体が小さかったことや語尾の上がり具合から「元気」と聞き間違えたようなのです。

 でも、補聴器が「元気?」と聞いてきて、体調管理もしてくれる、そんな未来も遠くないかもしれません。

 10月中旬に、アジア最大級のIT技術とエレクトロニクスの国際展示会シーテックが3年ぶりに開催されました。

 この展示場では毎年多くの最先端技術を搭載した製品が発表されていますが、ヘルスケア領域へのデジタルデバイス製品が年々大きな注目を集めるようになっています。そんな中、シャープが参考出品した「非接触バイタルセンシングソリューション」というものがありました。これは鏡の前に立つだけで、脈拍数・血圧・呼吸数・体表面温度を一括で測ってくれる驚きの製品です。このように今後は、ますます多くの企業が最先端の技術を使って、ヘルスケアに関連する機器を開発していくものと思われます。

 

実際に前出の補聴器メーカーでも、日本では未搭載ですが、心拍数と運動後の心拍数回復速度が測れる器種がアメリカで発表されています。

 また、耳に装着しているだけで、その日一日どのくらい人と会話をしたか、自宅・屋外・レストランなどいろんな場所に出かけているか、今日歩いた歩数・運動量などをスコア化しアプリでチェックできるものもあります。未来の補聴器は「聴く」を「補う」という補助的な役割だけでなく、もっと積極的にユーザーの健康に寄り添うデバイスに進化していくのかもしれません。

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278299