【新聞掲載】「聞こえ」が良くなったら生活が一変して社交的になった

2022.08.30

【第53回 2022年(令和4年)8月30日(29日発行)】

 補聴器をつけるようになったきっかけや、満足できる補聴器と出あうまでの過程はさまざまです。まさに補聴器の数だけ人生があるといえるでしょう。

 そしてそのいずれの方も補聴器をつける前とつけた後では、人生が、生活スタイルが、ガラッとポジティブに変わったとおっしゃいます。

 最近、こんなお客さまがいらっしゃいました。

70代後半の独居男性で、訪問看護とデイサービスを受けていらっしゃいます。どちらかといえば自宅で過ごすことが多く、社会に出て聞きづらさから受ける不便を実感する機会は少なかったこと。どこか塞ぎがちな日々だったといいます。

 そもそも補聴器を買うほどの経済的余裕はなく、あきらめていました。それが2年前に10万円のコロナ給付金が出たことで、補聴器を買ってみたいと奮起し通販で安価なものを買ってみたものの、結果として役に立たなかった苦い経験をされています。

 ある日、そんな苦い体験をなにげなく訪問看護師の方に話したところ、その看護師からご相談の連絡をいただき、さっそくお店でご本人の聴力を測定してみることに。するとどうやら聴覚障害の手帳取得が可能な程度であるとわかりました。耳鼻科でも検査すると案の定、意見書を書いてもらえ、障害者手帳を取得できて補聴器の支給を受けられたのでした。

 あきらめかけていた補聴器をつけることができてからは、この方の生活も一変することになります。デイサービスに行っても、今まで後ろの方でぼーっとしているだけだったのが、いまでは積極的に歌ったり、クイズを解いたりするようになり、行き帰りの送迎車の中でも利用者さんと冗談を言い合えるようになったと、晴れやかな顔で私たちに話してくれます。

 なんらかの理由で補聴器をあきらめていらっしゃるあなた。試しに身近な人や耳鼻科あるいは補聴器販売店に相談してみることをお勧めします。

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/278046