【第41回 2022年(令和4年)5月31日(30日発行)】
「補聴器をつけてるけど聞こえない」「補聴器は買ったけど使っていない」──。こういった方はたくさんいらっしゃいますが、その原因や問題点はさまざま。そんな一つ一つを解決し、聞こえの改善を図った一例を紹介したいと思います。
そのお客さまは他店で購入した補聴器を数年間使っていた90代の女性。「聞こえないので補聴器を買い替えたい」とのことでしたが、付き添いのご家族から話を伺っているうち、問題点が分かってきました。
それは、補聴器の形です。その方の補聴器は耳穴型の小さく目立たないもの。年と共に手先が思うように動かなくなり、取り外しのときによく落としてどこかに転がっていってしまい、見つからなくなってしまうとのこと。また、小さな電池の交換も難しく、電池のフタを何度か壊してしまうこともあったといいます。
そこで解決策として、補聴器の形はやや大きめの耳かけ型にし、充電式を提案しました。これならたとえ落としてもむやみに転がることがなく、しかも大きめのサイズなので見つけやすくなります。充電式なので電池の交換も不要です。
さらに、自分が必要だと思ったときだけつけるのではなく、朝起きたらまず補聴器をつけ、夜寝るときには外して充電をすることを習慣化してください、とお話ししました。
常時つけることで初めはさまざまな音がうるさいとおっしゃっていましたが、次第に慣れて、家族との会話やテレビの音がよく聞こえるようになったとのことでした。そこでどれくらい聞こえているか測定したところ、波の音や小雨の音程度の大きさの35dBまで聞こえるようになっていて、客観的な評価でも補聴器の効果が出ていたことを確認できました。
お客さまの困りごとはさまざまです。どんなささいなことでも、気になったり不便を感じていることがあったら、言ってみてください。そうすることが一番あなたに合った補聴器に巡り合える方法なのですから。