【新聞掲載】補聴器を買おうと思ったら…知っておきたい店選びのポイント

2021.10.20

【第14回 2021年(令和3年)10月19日(18日発行)】

 現在、国内に補聴器を取り扱うお店は7600店以上あるとされています。これら各販売店によって、サポートの仕方、購入後の調整の頻度、補聴器調整の技術的レベル、補聴器に対する取り組み方などはバラバラ。それには、補聴器の性能の進化が大きく関わっています。

 この20年間で補聴器はマイクからの電流をトランジスタなどで物理的に増幅して大きくするアナログ補聴器から、ICチップを搭載したデジタル補聴器が主流となってきました。デジタル補聴器は、まるで小さなパソコンのよう。高度な処理が可能になり、多くの新機能が開発され、毎年のように最新技術を搭載した補聴器が発売されるようになりました。

 そのためメーカーとしては、これまでの補聴器との差をアピールしたいので、「補聴器が全自動で音を出すので全部任せてください!」というような姿勢で新製品をアピールしてきました。私も前職は補聴器メーカーに勤務していたので、自戒の念を込めてになりますが、このように補聴器の性能を万能とうたってきたメーカーにも、「販売店ごとの取り組みに差がある」という責任の一端があるかもしれません。

 補聴器に対する全体的満足度は、一般社団法人日本補聴器工業会が実施した「JapanTrak 2018」という調査によると38%。

 脳卒中の後遺症で足がマヒして歩けなくなった人がリハビリを重ねて少しずつ歩けるようになる。それと同じように補聴器も、長期間かけて聞こえづらくなった脳に音を届けるにはトレーニングが必要なのです。

 最近はメーカーもトレーニングの必要性を理解し、販売店への教育を充実させています。安易な補聴器販売を行っていては顧客からのクレームが多くなり、補聴器やそのお店の信用を失うことにもなりかねません。

 しかし、まだまだ十分とは言えない状況です。補聴器を買おうと思ったら、認定補聴器技能者がいるか、話をきちんと聞いてくれるか、納得してから購入できるかをよく見極めてお店選びをしてください。

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/276849