補聴器用電池(空気電池)、ここにご注意!

2021.12.10

現在、日本国内で流通している電池交換式の補聴器の大半は、「空気亜鉛電池」の使用を推奨されています。(※ポケット型補聴器やメガネ型補聴器などアルカリ電池を使用する器種もあります。また、電池交換式の補聴器の中には銀亜鉛電池やリチウムイオン電池の使用に対応している器種もあります)

空気亜鉛電池は、以前はポケットベル(無線呼び出し通信機器)の電源としても使用されておりましたが、現在では補聴器および集音器にのみ使用されています。この電池は、主に、補聴器専門店・補聴器の取り扱いがある眼鏡店や時計店・家電量販店などで入手可能です。ドラッグストア、スーパーマーケット、百円ショップ、コンビニエンスストアなどで取り扱いがある場合もあります。

補聴器で使用される空気亜鉛電池は、『PR41』『PR48』『PR44』『PR536』の4種類です。PRが空気亜鉛電池を示しており、数字が規格(直径や厚み)を示しています。

空気亜鉛電池と形状がそっくりな電池もあります。例えばアルカリボタン電池『LR-41』です。LRはアルカリボタン電池であることを示しておりますが、電池の直径や厚みはPR-41と同じ規格となっています。

画像の左はアルカリボタン電池LR-41、右は空気亜鉛電池PR-41です。下部の形状が異なりますが、どちらも直径や形状は同じ規格です。同じ規格であるため、PR-41対応の補聴器にLR-41は入ります。また、多くの補聴器はおおよそ1.2V以上の電圧があれば動作しますが、LR-41も1.2V以上の電圧を出せますので、理論上はLR-41を補聴器に使用しても動作すると考えられます。

PR-41とLR-41はある程度は同じように使用できるため、誤って購入し、誤って使用するということも起こり得ます。2020年の春ごろにデジタル体温計の需要が一時的に高まりましたが、デジタル体温計で使用するLR-41と補聴器用のPR-41を間違えて購入したという方もいらっしゃったようです。

補聴器にLR-41等のアルカリ電池を使用したとしても、動作するなら特別な問題はないのではないか思われる方もいるかもしれませんが、アルカリ電池は補聴器の使用には不向きです。

空気亜鉛電池は、電池残量が残り少なくなるまで、ほぼ一定して電圧を保つことができます。一方、アルカリ電池は電池残量が少なくなるほど電圧も低下していきます。電圧が低下すると、補聴器の出力も弱くなることがあり、必要十分な音量を出せなかったり動作が安定しなかったりすることが起こり得ます。補聴器から十分な音が出ないことにより、例えば自動車などの接近に気づかずに事故に遭うことがあるかもしれません。動作が安定しないことにより補聴器が故障しやすくなることもあるかもしれません。補聴器の説明書には空気亜鉛電池以外を使用しないように明記されていますから、アルカリ電池を使用していた状態で補聴器が故障した場合は、自然故障に該当しなくなり、メーカーの保証を受けられなくなる可能性もあります。

下の写真は、同じメーカーで製造された同じ製品のアルカリボタン電池LR-41を2つ並べたものです。

弊社を訪れたお客様が「補聴器に電池が入らなくなったから見てほしい」との相談内容で持参された電池です。写真では分かりづらいかもしれませんが、右側の電池の上部は完全な平面になっていることに対して、左側の電池の上部は膨らんでいます。

角度を変えた写真です。奥が正常の電池で手前が膨らんだ電池です。

初期不良品でもともと膨らんでいたか、もしくは購入後に膨張したものだと思われます。この膨らみによって、うまく電池が入れられなかったようです。

アルカリボタン電池は、ほとんどのコンビニエンスストアや百円ショップなどで販売されていますので、空気亜鉛電池と比べて入手しやすいかと思います。価格も安価です。

しかし、安価な電池は、製造コストを抑えた結果として不良品が多かったり、電池寿命が極端に短かったりする可能性が高まります。

管理医療機器である補聴器を安心して安全に使うためにも、電池は正しく使うように心がけてください。

また、補聴器用の空気亜鉛電池は通信販売などで非常に安価に電池が売られていることもありますが、電池の使用推奨期限が残り少なくなった電池の在庫処理として価格を下げているケースも少なくありません。補聴器用の空気亜鉛電池を購入する際は、使用推奨期限も確認するようにしましょう。