【第77回 2023年(令和5年)3月14日(13日発行)】
「『補聴器、どうしよう?』と迷っている気持ちもわかるけど、こんな便利な道具、活用しない手はないと思う。ひとつどうです。気軽に試してみたら。私の噺だって、もっともっと楽しまなきゃもったいないですよ!」
これは昨年72歳で亡くなられた落語家の6代目三遊亭円楽さんが、ある補聴器メーカーのキャラクターに就任されたときに、聞こえの悩みを抱えている同年代に向けて送った言葉です。
このコラムでも以前、テレビのトーク番組で補聴器の装着について語った梅沢富美男さんのエピソードを紹介しましたが、芸能人が補聴器の装着を公表したり、同年代の視聴者に勧めたりしている姿をテレビや雑誌などで最近見かけるようになりました。
補聴器を装着した方々の話を聞くと、補聴器がただ音を聞くためだけのマシンではなく、生活を豊かにする生活道具であることが伝わってきます。
「きく」という言葉にはご存じの通り「聞く」と「聴く」があります。ただ音を漫然と耳で受け止める場合は「聞く」ですが、自分から楽しむためにより積極的に耳を傾ける場合は「聴く」という言葉になるわけです。
補聴器の真ん中にはその「聴く」が入っています。そうなんです。装着した人が以前よりも楽しく人生を謳歌したり、もっと果敢に挑んでみたりしたいと願う人にとっては願ってもない良き相棒となる心強いマシンなんです。
超高齢社会へ突入した日本ですが、耳の聞こえが悪くなったとしても、まだまだ現役で仕事をしたいし、恋もしたいし、いろんな経験をしてみたい。もっと人生を楽しみたいとアグレッシブに考える人がこれからもっと増えていくことと思います。
補聴器をつけることは老いではない。もっと人生を楽しむための積極的な手段で、補聴器をつけている人こそ若々しいという時代に、これからはなると確信しています。