【第29回 2022年(令和4年)2月22日(21日発行)】
前回は、喫煙が難聴リスクを上げることについて触れました。活性酸素が増えて細胞が傷つき、血管の壁にコレステロールが沈着するなどして動脈硬化を起こし、それによって血流が滞り、脳に音を届ける有毛細胞へ酸素と栄養が十分に届かなくなるためです。
日頃から動脈硬化を予防する生活を心がけることが難聴を予防する生活にもつながるわけですが、そんな予防策に2つのポイントを挙げることができます。まずは、増えすぎると動脈硬化を起こして心筋梗塞や脳梗塞を発症させるLDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロールを沈着させないこと。コレステロールの沈着を防ぐものとしては、カツオやマグロなどの魚に含まれるビタミンB6や、アサリなどに含まれるビタミンB12、さらにはブロッコリーなどの葉酸が有効です。
次に、LDLコレステロールを酸化させないこと。酸化すると血液がドロドロになって血栓ができやすくなり、血管の壁に沈着して血管が細くなります。その結果、血液がスムーズに流れず、全身に栄養が行き渡りにくくなるのです。複数の研究で、良質な油、具体的にはオメガ3系の油(亜麻仁油やエゴマ油)、サンマ・サバ・イワシなど青魚のDHAやEPAを多く含む油が、血液をサラサラにすることが証明されています。
加えて、酸化を防ぐ栄養素としてぜひとも摂取したいのが、ビタミンC、ビタミンE、βカロテンといったビタミン群たちです。
このように日頃から動脈硬化予防を意識した食事を取ることは、生活習慣病予防だけでなく、耳の健康にも良いということを覚えておいてください。