【第23回 2021年(令和3年)12月28日(27日発行)】
このところの新型コロナへの警戒から、以前のように年末年始に帰省する方はめっきり少なくなったかもしれません。それでも久しぶりに帰省した実家で、「昔はおしゃべりだったのに、今は話そうとしない」「テレビを見なくなった」「会話をしていてウンウンと聞いていたのに、その内容を覚えていなかった」といった老親の受け答えの変化に、「あれ?」と思う方もいるでしょう。
このようなことがあると、もしかして認知症かもと疑ってしまうものです。でもそれは、実は聞こえにくさが影響している可能性があるのです。
当店にいらっしゃる多くのお客さまの訴えを伺うと「何度も聞き返すのは悪いと思ってしまい、聞こえていないと言いづらいので、聞こえているふりをしてその場をやり過ごす」という方が少なくありません。
2世帯住宅に、娘さんと奥さまと暮らす86歳の男性がいらっしゃいました。足腰が悪いため日頃は近所を散歩する程度で、病院にも定期的に娘さんと一緒に通う。診察時には先生のお話をウンウンと絶妙な相づちで聞いていますが、家に帰ってから先生の話を家族ですると「そんなことは知らない」と言い、でもプライドがあるので、先生の前で「聞こえません」と言えないというのでした。
見かねた娘さんの勧めで当店で補聴器を購入していただき、3カ月のトレーニングを終えると、ゆっくりであれば会話が理解できるようになり、主体的に聞く姿勢を持つようになったとか。最近は、後ろから娘さんが「携帯持った?」と声をかけると、ポケットをポンポンと叩いて知らせてくれることもあるそうです。
難聴を、認知症と誤認されるケースは少なくありません。もし実家に帰省した際、両親の様子がおかしいな? と思ったら、難聴の可能性も視野に入れ、耳鼻咽喉科を受診するか、お近くの補聴器販売店に一度ご相談されてはいかがでしょうか。