【第76回 2023年(令和5年)3月7日(6日発行)】
あなたは1日のうち、どれぐらい人と会話していますか?
国立国語研究所が「大規模日常会話コーパスに基づく話し言葉の多角的研究」(2016年4月~2022年3月)内で、「一日の会話行動に関する調査報告」を上げています。
それによると、1日の平均会話時間は6.2時間。1日24時間のうち睡眠が8時間で、起きている時間を16時間とすると、約40%は会話していることになります。
思っているよりも多くありませんか? 起きている時間の4割もの時間が、聞こえの調子が悪く、大変難儀するものだったら、他人とのコミュニケーションを減らし、社会そのものとの交流や参加が減少していくのも当然のことです。
ですから日頃から物静かな高齢男性の中には、ひょっとしてそんな理由で寡黙を通している方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
先日、奥さまと2人暮らしの70代の男性が、奥さまと息子さんと3人でご来店されました。
1年ほど前から聴力が落ちたため、通販で1万円ほどの集音器を購入。でも雑音がうるさくていつしか使わなくなってしまったとのことでした。
聴力測定後、実際に補聴器を装着してもらいました。聴力測定の結果やメーカーの違いを説明し、お試しレンタル。
1週間後にお会いすると、以前とは見違えるほどに、ご自身の意見を口にしたり、次はこれを試してみようと積極的なご様子なのです。
それまでは奥さまが会話する横で居眠りすることも珍しくなかったといいますから、その変わりようにわれわれもうれしい驚きです。
難聴により会話が少なくなり社会との関わりが減ったりすることで、認知症リスクも高まります。会話はとても大事なもの。
その寡黙、ひょっとして難聴かもしれません。