【第66回 2022年(令和4年)12月13日(12日発行)】
お客さまの中には、実は以前にも別の店で補聴器を購入されたことがあるという方がいます。
そして、そんな方の中に比較的多いのが、販売店に勧められるままに、よく分からずに機器を購入してしまったというケースです。しかも、購入後も時間をかけて調整していくのが補聴器だという基本を知らないまま、使用するうちによく聞こえないなどと不便不快を感じるようになり、結果として補聴器を自分の生活に活用することなく、外してタンスにしまい込んでしまうというのがお決まりのようです。
ただ聞こえづらいといっても、その人によってさまざまです。どんな場面でどれほど聞こえづらいのか、そして自分にとってどの程度聞こえるようになればよいのか。具体的にイメージして言語化することは、補聴器選びの有効な目安になるはずです。ここで「日本聴覚医学会」から、聞こえの具合を測る10項目の質問が発表されているので紹介します。
①静かな所で、家族や友人と1対1で向かいあって会話する時、聞き取れる②家の外のあまりうるさくないところで会話する時、聞き取れる③買い物やレストランで店の人と話す時、聞き取れる④うしろから近づいてくる車の音が聞こえる⑤電子レンジの「チン」という音など、小さな電子音が聞こえる⑥うしろから呼びかけられた時、聞こえる⑦人ごみの中での会話が聞き取れる⑧4、5人の集まりで、話が聞き取れる⑨小声で話された時、聞き取れる⑩テレビドラマを周りの人々がちょうどよい大きさで聞いている時、聞き取れる。
補聴器をつける前と、つけて補聴器に慣れた頃とで同じ質問に答えてもらいます。以上の質問はどれも分かりやすく、補聴器をつけているときの主観的な評価を得ることができます。自分に合った補聴器は必ず見つかるはずです。そして自分で選んだ気に入ったものなら毎日身につけられるはず。選ぶ楽しさは補聴器を体の一部のように使いこなす第一歩なのです。