【第55回 2022年(令和4年)9月13日(12日発行)】
どんな人でも公平に、身体的負担もなく使えるように配慮されたユニバーサルデザインというものがあります。
例えば、誰もが余裕を持って通過することのできる幅の広い改札は、車イスの人だけでなく大きな荷物を持った人やベビーカーを押す人など誰にとっても利用しやすいように配慮されたものです。
近年このユニバーサルデザインに聴覚障害者への配慮も加わりはじめています。
これまで外から見てはっきりとその障害の状況が分からないため、つい他の障害の方に比べて、聴覚障害者の配慮が進みづらかったのですが、この長引くコロナ禍でのマスク生活で、会話の困難さが顕在化。加えて、それをサポートする技術的な進化もあって、各地で配慮の動きが始まっています。
相鉄本線さがみ野駅の窓口では「字幕透明ディスプレー」を使った実証実験が始まっています。透明なディスプレーを通して駅係員と乗客が会話を行うもので、会話の内容はマイクで取得されリアルタイムで字幕表示されます。しかも英語・中国語など70の多言語に対応し、同時翻訳機能も可能というスグレモノです。
面白い試みとしては、JR上野駅では、駅のホームに流れるアナウンスや電車の音などを文字や手話に変換しディスプレーに表示する「エキマトペ」という実証実験もされています。ホームで聞こえる環境音を「ガタンゴトン」「プシュー」といった擬音語にして視覚的に表現。「リアルタイムの音が見られてうれしい」と評判も上々のようです。
またコンビニのローソンでは、耳の不自由な人も安心して買い物ができるよう、全店のレジに「レジ袋購入します」「温めてください」と書かれたイラストを設置。指さしすることで、意思表示ができるようになりました。
コロナ禍で店員がマスクをつけるようになり、口元を見て話を理解しづらくなった、聴覚障害を抱える女性社員の提案だといいます。
このように聴覚障害の理解がより深まり、少しでも聴覚障害への理解が今後も深まることを期待しています。