【第49回 2022年(令和4年)8月2日(1日発行)】
補聴器は日常的に使うものですから、汗をかいたり、顔を洗ったり、急な雨に降られたり、なんてこともめずらしくありません。ですが他の電化製品同様に水に弱い製品であることは確かなのです。
実際あるメーカーが調査したアンケートによると、普段、水や汗を心配して補聴器を外すことがある人は93%で、プールでは78%の人が、雨の日では43%の人が故障を気にして耳から外しているそうです。
実際これまでそういった対策のため、各社ともに防水性能を強化してきました。特にこれまで電池を入れる部分から汗が浸入して故障するというケースが多かったのですが、充電式タイプ補聴器が登場してからは、さらに防水性能が進化し、故障の数も少なくなってきています。
そんな中、最近「フォナック」というスイスのメーカーから、これまでにない完全防水の補聴器が発売されました。
この製品は、水深50センチまでの真水への水没はもちろん、今まで厳禁とされていた海水、プールの水などにも耐えられるようになり、例えば日常的なシャンプーやせっけんがついてしまったぐらいなら、水で洗い流せばOKという具合です。潜るようなことがなければ、温泉も大丈夫です。
そんな防水補聴器を最近購入していただいた90代の女性のお客さまがいらっしゃいます。
ご本人は脚が不自由であまり外出する方ではないのですが、お気持ちはとても若く、新しいことに貪欲に取り組む姿勢をお持ちで、補聴器をつけることで前向きに生活を楽しまれています。
ちなみに、通常の補聴器と防水タイプの価格差は1万~2万円程度。それでも、入浴の際にもっと入浴介助のヘルパーさんと会話を楽しみたいという思いから、この防水補聴器を選択されました。
少しでも自分の生活を前向きに豊かにしたい、そんな思いをかなえることのできる高機能補聴器の可能性はこれからも広がっていくと信じています。