【第31回 2022年(令和4年)3月8日(7日発行)】
先日のことです。広島の補聴器販売店がツイッターで「補聴器の落とし物を見つけたら、近くの補聴器販売店に届けて!」という内容のツイートをしたところ、4万リツイートと5万件のいいねがついて大きな話題となりました。
それは補聴器販売店からメーカーを通して補聴器を落として困っている方に、連絡することができるためですが、それができるのは各メーカーでどの販売店にどんな製品を販売したかを、シリアル番号と共に記録しているからです。でも、製品によってはその番号の記載されている場所が違い分かりにくいことも。そのため冒頭のツイートをした販売店は、警察よりも扱い慣れた販売店の方がより早く落とし主の元に戻ると考えたようです。
ちなみにこのツイートは注目度の高さから、神戸新聞社が運営するニュースサイトで取り上げられ、やがてはYahoo!ニュースにも転載。それがきっかけとなり、警察遺失物係から補聴器業界団体へ問い合わせがあり、業界から補聴器メーカーの連絡先一覧やシリアル番号の刻印場所などの情報を提出。それにより、警察から製造番号をメーカーへ問い合わせ、次に警察またはメーカーから購入店へ連絡、そして購入店から顧客へといったフローが確立されたのでした。
今回はひとつの販売店のつぶやきが、警察と業界全体を動かし、いままで確立されていなかった、補聴器の落とし物に対する対応の方法を改めて確認することになりました。ひとえに多くの人が拡散し、意見を書いてくれたおかげであり、それが社会全体を巻き込むムーブメントになったわけです。
この先も補聴器を取り巻くムーブメントはさらに明確になり、以前にも増してこの補聴器に対する関心が世の中で高まることでしょう。
難聴は高齢者だけの問題でなく社会全体の問題です。ぜひ、これからも聞こえや補聴器についてさまざまな社会の人たちに関心を持っていただければと思っています。