最近、街に出ると現役で活躍する高齢者の姿をよく見かけます。その中には 補聴器を愛用している方も増えており、補聴器を使う環境もますます多様になってきています。
8月上旬、群馬県伊勢崎市では最高気温41.8度を記録しました。このように全国的に猛暑が続く中、従来の補聴器は動作保証温度が40度程度に設定されており、近年の気温はその想定を大きく超えています。さらに、高温による本体の発熱だけでなく、気温差による内部の湿気や、大量の汗、急な大雨による水濡れなど、補聴器にとって非常に過酷な環境が生じています。こうした背景から、最近では「聞こえの性能」だけでなく、防水性や耐熱性といった耐久性を重視した製品開発が進められています。特に防水性能は大きく進化し、これまで専用機種に限られていた高い防水性が、この1年で新しい補聴器の標準機能として搭載され始めています。
例えば、メーカーAは汗や水濡れによる故障を心配するユーザー向けに、業界初の「水濡れ保証」を導入しました。特殊コーティングや密閉構造で防水性を高めるほか、耳に掛けるパーツには防弾チョッキにも使われる強靱で柔軟な素材「ケブラー」を採用しています。また、メーカーBでは充電池の周囲をカバーとシーリングで完全密閉し、 水滴の付着を防止。さらにマイク部分には工夫を凝らし、開口部と内部マイクを90度ずらす設計で水の浸入を防いでいます。加えて、防水コーティングの粒子を細かくすることで内部を均一に保護。こうした設計をもとに、汗や真水はもちろん、塩水やプールの水を使った135項目.1万時間以上におよぶ耐久テストを実施しています。
これから 補聴器の購入を検討される方は、各メーカーの最新の防水機能や保証内容について、ぜひ補聴器専門店で専門スタッフに相談してみてください。自分に合った安心の1台を選ぶことができるはずです。 (おわり)
(2025年8月29日公開 日刊ゲンダイヘルスケア 認定補聴器技能者 田中智子 連載より)