補聴器の乾燥・除菌で故障の予防!

2021.11.02
画像提供:GNヒアリングジャパン

精密機械である補聴器にとって汗や湿気や故障の原因に繋がります。
 写真右の新品の補聴器に対して、写真左は湿気等の影響によって内部部品にサビなどが生じた補聴器です。このように、汗などによって故障した補聴器は、音質が歪んだり、音自体が弱くなったりして、必要な音量を耳に届けることができなくなってしまいます。故障した部品は交換することができますが、保証期間外の修理の場合は1回の修理に数万円と費用がかかる場合もあります。

 近年、主要メーカーから発売されている補聴器は、撥水・耐水の加工やコーティングが施されております。IP等級を取得した補聴器も数多く見られます。
 汗や湿気による故障は従来よりも大幅に減少しましたが、撥水・耐水のコーティングは経年によって効果は弱まりますし、IP等級は真水による試験結果を表したものですので、油分や塩分を含んだ人間の汗や分泌物に対しては万能ではありません。

 補聴器を長く使用していただくためには、日常的な乾燥メンテナンスをお勧めします。
 実施することは主に二つです。

1・補聴器の汚れを除去する
2・補聴器を専用の乾燥機器に入れる

 補聴器の汚れについては、市販のメガネ拭きなどで拭きとりましょう。

 補聴器の乾燥機器は、非電源式の「乾燥ケース」と電源式の「乾燥機」の2種類があります。
「乾燥ケース」はシリカゲルなどの乾燥剤が入った容器に補聴器を収める簡単な構造です。密閉した容器に、補聴器と乾燥剤を入れることで、乾燥剤が補聴器に付着した水分を吸収します。2~3か月ごとに湿気を吸収した乾燥剤を交換して使わなくてはなりません。
電源式の「乾燥機」は、送風もしくは真空によって、補聴器内部の湿気を除去させる仕組みです。
送風式の乾燥機は、機種により常温風、もしくは40度弱の温風を送風させて補聴器を乾燥させます。温風なら30分から1時間程度、常温風でも2時間程度で乾燥を行います。中にはUVライトの照射によって、雑菌の増殖を抑制する機能を持った製品もあります。

画像提供:自立コム『リニュー・ドライヤ』

真空式の乾燥機は、補聴器を入れたカップの空気を抜き取り真空状態にします。真空状態にさせることで、補聴器に付着した水分を常温で気化させる仕組みです。おおよそ5分程度で乾燥を行います。また、カップ内が真空状態になることで雑菌の増殖も抑制します。

「乾燥ケース」や「乾燥機」の多くは、片耳1台ずつの補聴器を納められるくらいの大きさで、就寝時などに使用することを想定されて作られていました。しかし、2010年代より市場に登場した充電式補聴器は、就寝時に充電する想定で作られています。そのため、従来型の充電式補聴器は、充電するか乾燥させるかのいずれかしか行うことができませんでした。乾燥が終わってから充電するか、充電が終わってから乾燥させるかといった手間が生じます。ただし、一部のメーカーの充電器兼用ケースは、乾燥剤を取り付けることができるため非電源式の乾燥ケースとして併用することも可能です。

 ドライキャップUV2は、補聴器を充電しながら使用できる電源式の乾燥器です。充電式補聴器を充電器ごと乾燥させる仕組みで、常温風を対流させる機能とUVライトを照射する機能がついています。ドライキャップUV2の内部に常温風を対流させることによって補聴器内の乾燥を促します。また、UVライトは雑菌の増殖を抑制します。これらは、従来型の電源式乾燥機と同等の機能です。
 充電式補聴器をお使いの方に、日常的に続けていただけるメンテナンスとしてお勧めしております。

充電しながら乾燥もできる乾燥機ドライキャップUV