補聴器を使い続けられない4つの理由(2)補聴器と間違って「集音器」を購入する 日刊ゲンダイヘルスケアより

2025.07.24

「補聴器より安いから集音器を購入したけど、結局、聞こえなかった」

 こうおっしゃるお客さまが結構いらっしゃいます。改めて補聴器を購入してくれればいいのですが、「集音器がダメだったから、補聴器もダメだろう」となるケースが少なくありません。

 みなさん、集音器と補聴器を混同しているのですが、これら2つは別物です。

 集音器は、周囲の音をマイクに集めて大きくし、聞こえやすくする電化製品。高音から低音まで全ての音を一律に調整する機能しか付いていません。全ての音を大きくすると、聞こえている音も大きくなりますから、耳を痛める結果になりかねません。

 対して補聴器はその人の持つ聴力に合わせて、微妙なチューニングができる医療機器です。聞こえている音は抑え、聞こえていない音は大きくし、突発音を抑制し、雑音の中では会話の音だけを大きくします。

 値段に引かれて通販で集音器を購入し、後悔する人がいる一方で、見かけ上は似ているので「見分け方が分からない」という人も多いです。中には、集音器が補聴器だと最後まで思い込んでいる人もいます。

 そもそも集音器と補聴器は、電化製品と医療機器という大きな違いがあります。電化製品には医療機器に対するような広告規制がないため、新聞の広告やTVの通販番組などで目につきやすい。その点、補聴器は大々的な広告が打てませんから、集音器の陰に隠れがちです。

 集音器か補聴器か判断がつかなければ、消費税をチェックしてください。医療機器である補聴器には消費税がかかりません。

 それでも間違って集音器を購入したとしても、まだ聞こえの改善に取り組む意欲をお持ちの人は、最終的に補聴器にたどり着けるのではないかと思います。しかし最初に通販で集音器を買ってしまい、うまくいかなかったということで、やる気がそこで終わってしまい、疲れ果てて“聞こえない問題”を数年にわたって放置する人はけっこういらっしゃいます。

 であれば、聞こえない問題をどうにかしたい!となったときは、せっかくのその前向きな気持ちを有効に生かしたいものです。そのためにも通販で安易に集音器を購入するのではなく、まず最初に耳鼻科や認定補聴器技能者のいる補聴器屋さんに相談に行っていただきたいのです。

 そこで自分の聞こえの具合を知り、次に自分に合った補聴器を、サポートを受けながらしっかりと時間をかけて調整をし自分の補聴器にカスタマイズしていく。そして補聴器をつけることを習慣化していくのです。
=つづく

(2025年7月23日公開 日刊ゲンダイヘルスケア 認定補聴器技能者 田中智子 連載より)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/375156