【新聞掲載】テレビや電話の音が聞こえづらい…音を聞きやすくする機器で改善

2022.05.17

【第39回 2022年(令和4年)5月17日(16日発行)】

 補聴器を販売する際、みなさんがどういった場面で聞こえづらさや、不便さを感じているかを丁寧に聞くようにしています。

 初期の難聴を患っていらっしゃる方に多いお話が、「テレビの音がうるさいと家族に言われる」、逆に「家族には聞こえていても自分だけは聞きづらくてテレビを楽しめない」。さらに「電話では相手の声が聞きづらくて、ときおり聞き間違いをする」といった日常生活における不便さにまつわるものです。

 そんな聞こえづらさを実感される方でも、補聴器の購入をためらうケースは珍しくありません。私が提案しているのが、たとえば指向性の利いたスピーカーによりテレビの音量を上げなくても聞き取りやすくする方法や、携帯電話にイヤホンを接続し音量を調整することで電話を聞き取りやすくする方法です。また固定電話の場合では電話機本体と受話器間につなげることで、受話器から出る音を増幅する装置もあります。こういった選択肢で生活の質が改善するのであれば、それに越したことはありません。

 ただ、これらの機械を四六時中持ち運びながら会話をするのは現実的ではありません。

 外出先で人と話したり、後ろから不意に話しかけられたときに反応できなかったり、後ろから車が来ていることにも気づかないようになってくると、やはりいまのところ自分の耳につける補聴器がベストではないでしょうか。

 ただ補聴器は安価なものではありませんし、本欄で何度もお伝えしているように、つけてすぐ聞こえるようにはなりません。

「出費」と「トレーニング」という二重のハードルを乗り越える必要があるわけです。それでもそれを乗り越えた後には、これまでの生活の不自由さや不便さから来る後ろ向きな気持ちからも解放され、もっといろんな人と話したいと思うことでしょう。

 いま一度自分が困っていることは何か、よくよく振り返り、最適な解決法を見つけてください。

https://hc.nikkan-gendai.com/articles/277608