【第34回 2022年(令和4年)4月5日(4日発行)】
音は、「大きさ」「高さ」「音色」の3つの要素で構成されています。補聴器販売店では、補聴器の音の大きさと高さは調整できますが、音色だけはできません。それは、音色はメーカーごとによって異なるからです。
かつてこんなケースがありました。ご夫婦でいらっしゃったお客さまで、奥さまが今まで使っていた補聴器が少し聞きづらくなったので、新しいものを購入したいとのこと。
一般的に販売員はメーカーの音作りの方向性や開発コンセプトなど特色を話すことはありますが、音色に関しては、言葉ではなかなか伝わりにくい。そこで当社では、5つのメーカーの補聴器を試し聞きしてもらっています。奥さまも5つのメーカーを試し、そのうち2つのメーカーの補聴器を選び出しました。
メーカー名をA、Bとすると、気に入ったのはメーカーAの補聴器。でも、実際に旦那さんとの会話では、メーカーBの方が聞き返しが格段に少ない。結局AとBのどちらにするか、その場では決められず、両方をレンタル。2週間使い比べた結果、購入に至ったのはBの補聴器でした。
奥さまの話では、それまで使っていた補聴器とメーカーAの補聴器の音作りの方向性が似ており、どこか聞き慣れたAが良いと、最初は瞬間的に思ったとのこと。しかし、2週間のお試しで使ってみて、Bの音に慣れるに従い、そちらの方が言葉がはっきり聞こえ、Bの良さを実感したそうです。
お店は静かな場合が多いため、いずれの補聴器も良く聞こえると思ってしまうかもしれません。でも日常生活は、車の音や、食器の音がしたり、ドアがバタンと閉まったり、掃除機をかけたりと、さまざまな生活音が入ってきます。そういった雑音の中でも聞き取れるか、つけていて不便はないかなど、音色も含めて実際に体感してから購入すれば、より自分に合ったものを選べるでしょう。多くの販売店ではレンタル制度を設けていますので、それを大いに活用し、ぴったりの「相棒」を見つけてください。