【第28回 2022年(令和4年)2月15日(14日発行)】
難聴の原因は遺伝、加齢、病気、薬の副作用、音の環境などさまざまあるといわれていますが、中でも大きな音を聞き過ぎることで起こる難聴については前回お話ししました。今回は、喫煙や生活習慣に起因する生活習慣病が難聴に及ぼす影響とその予防策を考えていきたいと思います。
最近行われた国立国際医療研究センターの研究によると、喫煙本数の増加に伴い、聴力低下のリスクも高くなるということが判明しました。
ちなみに5年間禁煙するとその難聴リスクは非喫煙者並みになるという報告もありますから、ヘビースモーカーの方でも遅すぎることはないので、今日からでも禁煙をオススメします。
そもそも喫煙と難聴がどのように関係するのでしょうか? それは喫煙により血管中の活性酸素が過剰に増加、それにより血管を傷つけ、血管内の壁にコレステロールを沈着させ動脈硬化を起こしやすくなるためなのです。そして血管の壁が硬く分厚くなり血流が滞ります。
こうなると、心臓から体のすみずみまで酸素や栄養素を運ぶ重要な働きが悪くなります。その影響は耳にも及びます。耳の中にある有毛細胞という脳に音を届けるために重要な役割を持つ細胞に血液が届きにくくなります。酸素と栄養が十分に届かなくなった有毛細胞は機能しなくなります。
動脈硬化により生活習慣病のリスクが高くなることはみなさんよくご存じかと思いますが、意外や意外、その動脈硬化が難聴の原因にもなるというのです。
そもそも動脈硬化の原因はなにかといえば、運動不足、飲酒、喫煙、不規則な生活、バランスの悪い食生活、野菜不足、塩分・糖質・悪い脂質の取り過ぎと、日々営む自分の生活スタイルが原因なのです。ですから生活習慣病の予防にはまずは食生活や生活習慣の見直しが一番大切とされています。
生活習慣病予防を意識すると同時に、耳をいたわる生活を行うこともまた、難聴を予防する生活につながるのです。