「様子をみましょう」は何もしてくれない?

2021.03.26

こんにちは。うぐいす補聴器の田中です。
補聴器の調整については日々、補聴器業界に限らず情報収集をしています。
本日は最近読んだ本の中から勉強になった本をご紹介します。

山本健人著「がんと癌は違いますー知っているようで知らない医学の言葉55」幻冬舎新書、2021.3月発行

山本健人著「がんと癌は違いますー知っているようで知らない医学の言葉55」幻冬舎新書、2021.3月発行

(以下引用)
医師はよく、「様子を見ましょう」というセリフを口にします。患者さんの中には、「いつも医師が『様子を見ましょう』と言うばかりで、何もしてくれない」と不安を感じる方もいて、「様子を見る」の意味があまり知られていないようにも思います。
「様子を見る」というのは、医師にとっては「経過観察」と呼ばれる大事な医療行為です。一旦何も治療せず自然な経過を見ることが、次の一手を考える上で大切な戦略になることがよくあるのです。~中略~
体の状態は刻一刻と変化するあため、今は「大丈夫」でも、次の診察のときに「大丈夫」かどうかは分かりません。よって医師も「大丈夫です、何も問題ありませんよ」と患者さんに軽々しく告げることはできないのです。
そこで「今後症状に何らかの変化があればもう一度受診してほしい」「次は1週間後に予約をとり、その時点で再度診察し、何らかの変化があれば次の一手を考えたい」という意味で、医師は「様子を見ましょうと告げるのです。
患者さんにとっては、「今すぐ何かしてほしい」と思うのも当然でしょう。しかし、本来必要のないはずの薬を使ってしまい、症状が予想もつかない方向へ変化してしまうと、返って正確な判断が妨げられ、病気の発見が遅れる恐れもあります。
患者さんが求めるべきなのは「安心」ではなく、「次どうなればどういう手を打つのか」という医師の考える「見通し」です。次の受診のタイミングを逃さないよう、注意すべき病状の変化を医師から聞き出しておく必要があるでしょう。
このように、「経過観察」は医師にとっても患者さん自身にとっても意味のある、大切な医療行為なのです。
(引用終わり)

私たち補聴器の調整でも、経過を必ずお聞きします。「今日はどうだったか」、「昨日はどうだったか」、「先週気になっていたことは今週はどう感じるか」などです。
補聴器はつけてすぐ聞こえるようになるわけではなく、トレーニングが必要です。そこで、経過をこまめにお聞きすることを大切にしています。こまめに症状をお聞きすると、今後の見通しや、調整に役立ちます。

調整期間中はぜひお気軽にメール・LINEなどで感じたことを送ってくださいね。日記をつけていただいて、週1回の調整のときに持ってきていただくのでも構いません。
毎日の変化を前向きにとらえて補聴器をつける生活が当たり前になるように習慣化していきましょう!
早く慣れるためのポイントはこちら(補聴器調整 3つのポイント)もご覧ください。

※医行為及び医療行為(医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為)は、医師に限られます。